リモート監査とは?

新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務やリモートワークを導入する企業が増えてきました。
会計監査においても、在宅勤務やリモートワークの推進、移動制限の影響を受けて、現地を訪問して行う従来型の監査手続が困難になったこともあり、ITツール等を活用して遠隔で行う「リモート監査」が新しい会計監査のスタイルとして注目を集めています。
本記事では、リモート監査のメリットや課題についてお伝えします。

リモート監査とは?

「リモート監査」とは、ITツール等を活用しリモート(遠隔)で行う会計監査のことです。

従来は、実際に現地を訪問して契約書等の現物をチェックし現実を認識する「三現主義」に基づいた会計監査が一般的でした。
一方リモート監査は、オンライン会議システムやチャットを活用したコミュニケーション、電子データでの資料共有などを組み合わせて、遠隔で会計監査を実施します。

感染症対策が喫緊の課題となっている現在、対面で行う従来型の監査手法では対応できないケースが増加しているため、非対面で実施できるリモート監査が注目を集め、一気に普及することとなりました。

リモート監査のメリット

リモート監査には次のようなメリットがあります。

  • コロナウイルスをはじめとする感染症を防止できる
  • 交通費や宿泊費などのコストを削減できる
  • 移動時間が不要になり、適時かつ効率的な監査が実施できる
  • 地域にとらわれずクライアントの業種や規模に合わせた会計士を選任できる
  • ヒアリング頻度の増加・参加者を拡大することができる

ひとつずつ説明していきます。

コロナウイルスをはじめとする感染症を防止できる

リモート監査が積極的に実施されるようになった要因でもあるため当然のことではありますが、一連の監査手続をリモートで実施することで、コロナウイルスだけでなくインフルエンザや風邪などあらゆる感染症を防止することができます。

交通費や宿泊費などのコストを削減できる

現地に訪問して行う監査の場合、監査を実施する場所への交通費や場合によっては宿泊費などがかかってしまいます。従来は会計士の交通費はクライアントに負担していただくことが多かったのですが、リモート監査では移動は不要なため、交通費や宿泊費などを削減しコストを最小限に抑えることができます。

移動時間が不要になり、適時かつ効率的な監査が実施できる

移動時間が不要になることで、いつでも適切なタイミングで監査を実施することができます。従来の訪問往査では監査の日程調整が難しいという課題がありましたが、リモート監査では現地に行かなくても遠隔で資料を入手することができるため、資料ができあがった段階で速やかに会計士が監査を進めることができ、万が一、不測の事態が生じた場合でも迅速に対応することが可能です。結果的にクライアント、会計士ともに生産性を向上させることができます。

地域にとらわれずクライアントの業種や規模に合わせた会計士を選任できる

現地に訪問することが前提の従来型の会計監査と異なり、リモート監査であれば企業が所在している地域に限定することなく「公認」会計士を選任することが可能です。クライアント側としては、選択の幅が広がることで、自社が属している業種の経験が豊富である等、自社に合った会計士を選ぶことができるようになります。

ヒアリング頻度の増加・参加者を拡大することができる

訪問して実施する監査と比べて、オンライン会議システム等を活用したリモート監査ではヒアリングのスケジュールを柔軟に設定することができるため、ヒアリングの頻度を増やしたり、従来は参加できなかった関係者がリモート監査に参加することも可能になります。

リモート監査の課題

ここまでリモート監査のメリットを紹介してきましたが、コロナ禍の影響により多くの企業でリモート監査が実施されてきた中で、次のような課題も指摘されています。

  • 紙面で保存している書類や資料を電子化する作業がクライアント側で発生する
  • 電子化された証憑の改ざん等のリスクへの対応が必要となる
  • 現金実査や棚卸立会などリモートでの実施が困難または特段の留意が必要な監査手続がある
  • オンライン会議だけでは信頼関係を構築するのが難しい場合もある
  • 効率的なリモート監査を実施するためには、デジタルリテラシーの高い監査人が必要となる

課題が明確になってきた状況に鑑み、日本公認会計士協会から「リモートワークを俯瞰した論点・課題(提言)」が公表されるなど業界内でも議論が深まってきており、今後、デジタル技術を活用した新たな会計監査のスタイルがますます一般的なものになってくると思われます。

まとめ

コロナ禍をきっかけに注目されるようになったリモート監査には、感染症の防止策として有効なだけでなく、拠点や地域にとらわれない柔軟な対応やコスト削減ができるなどのメリットがあります。

アフターコロナの時代においても、これらのメリットを活かしながらより高品質な会計監査サービスを提供していくことが、監査業界の果たすべき役割だと考えています。

フルリモート型の会計監査サービスを提供するクイノスでは、ITツール・デジタル監査ツールを取り入れリモート監査を積極的に推進するとともに、クライアントの電子化に向けてのサポートも行っておりますので、興味・関心がありましたらお気軽にご相談ください。

以上

クイノス総合事務所は上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査サービス及び各種コンサルティングサービスを提供しております。
監査では金融機関の要請に基づく任意監査、非上場の会社法監査、投資事業有限責任組合・特定目的会社の会計監査、社会福祉法人・医療法人・学校法人の会計監査、労働組合の会計監査などに特化しているため上場会社を監査している監査法人等と比較し、会社規模やリスクに見合った効率的かつ効果的な監査を柔軟に行うことを基本方針にしています。
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この記事を書いた人

新井 康悦

新井 康悦

クイノス総合会計事務所代表 公認会計士・税理士
有限責任監査法人トーマツ→上場企業 財務経理部長・IR部門責任者→クイノス総合会計事務所